アートで生計をたてる
- On 2017年8月26日
私は基本的に日本国内で絵を描き、それを販売すること(その先の本当の目的は、売り上げの一部を、世界の恵まれない立場の人たち、特に子供たちへ寄付したいということなのですが・・・参照)をアート活動の中心に据えているので、ここでは、日本国内での絵画を主題に話を進めてみます。
「アートをやって」と一言で言っても、色々な視点があるでしょう。
時代の流行を的確に捉えて、国内外問わずに、売れそうなアーティストを次々探し出して、売れそうな作品だけを描かせたりして、それをどんどん売りさばくような画商は、ビジネスマンとして「アートをやって」生計をたてることは日本でも十分出来そうです。但し、売れるアーティストを見抜ける力と、売れないアーティストを即座に切り捨てる冷酷さを、ともに兼ね備える必要はあります。
画廊経営者、キュレーターなども、観客を呼べる展示を次々に企画実現して、収入を得ていく人たちも、競争率は高いと思いますが、アーティストオンリーでやっていくよりはましで、日本でもどうにかやっていけそうな気もします。当たれば大儲けかもしれない。但し、アートへの深く広い見識は要求されるでしょう。
様々な画材を販売する画材店を経営する人も、その販売員も、「アート(に関わる仕事)をやって」生計をたてられそうです。どういう作品を、どのように描くのかを十分学んだ上で、お客さん(画材を買い求めるアーティストやアートを愛する人たち)に、最適なアドバイスが出来る店であれば、注目度も上がり、売り上げは伸びて、日本でも生計は立つと思います。
アート評論家とか、アートの歴史を扱う研究者や教授なども、ポストがあれば、日本国内でも生計をたてていけるかもしれないです。
問題はやはり画家アーティスト本人です。To earn a living by making art is difficult in Japan.
絵を描くという活動をやって、それだけで、日本国内で生計をたてるのは非常に難しいです。有名な芸術大を卒業しても、絵を描きつつ、そちらでは稼げないので、絵画教室などの講師、画廊のバイト、画材屋さんの店員などになる人が多いようです。副業をやってアートを続けるのです。絵を描くために、(だって絵を描くには沢山の画材が必要で、個展やグループ展をやるにもかなりの出費ですから・・・)何か別の仕事をするということでしか、生計をたてられない日本のアーティストが大半であると思います。悲しいかな、アーティストの出費を肩代わりしてくれるシステムは乏しい国ですから。
海外の方が、アートへの評価やアートを楽しみ育てる気質は高いので、海外に出たほうがいいという先輩も多いですね。なぜなら、所謂、アーティストにお金を使わせない、つまり制作費を援助するシステムは、海外には色々あるからだそうです。うらやましいですよね。作品を購入する気質についても、流行り廃りより、自分が好きならその作品を買う、本当にその場で買うという姿勢は、海外の方が圧倒的に高いようです。NYCで、道の片隅でたまたま絵を描いていた私の作品を見て、「君の絵は一枚いくら?」と実際に尋ねてくださる通りがかりの人は、一日で数名おられました。勿論、それだから、海外に出さえすれば、絵を描いて生きる道が安易に開けるわけではありません。でも、アートを純粋に大事にして、アートを実際に購入して、生活の中でそれを飾って楽しんで~~~そんな気質は、日本にはまだまだ非常に乏しいみたいです。その気質が日本にきちんと育ってくれば、日本でも、「アートで生計をたてる」事のできるアーティストの数は確実に増えるはずです。勿論、アーティスト本人のたゆまぬ努力はベースに必要です。
Too many Japanese people think of art as frivolous, impractical (same is true everywhere). Unlike other countries, there are not so many ways for artists here to show their work and sell it.